色塗りがヘタな僕の立ち絵塗り方まとめ【前半】

小学校の頃から「アンタは何で色塗るとそうなっちゃうの?」て先生や親から言われていた陰陽です。

とにかくね~、色が「見えない」んですよね~。
輪郭線&モノクロの陰影やコントラストの使い方までは、昔からまぁどうにかこうにかイメージ出来るんですが、その先どういう色使いにすると絵が映えるとか、ココにこの色があると引き締まるとか、そういうのが全然浮かんでこない分からない。
なので色彩学の知識なんか齧って一所懸命理論武装してみたりとか、実際のお描き時にもあ~でもないこ~でもないと弄くり回すんだけど、やっぱり持って生まれたセンスの無さ(って日本語変か。「持って生まれられなかったセンス」かな)で、ますます袋小路に陥ってく感が強まって。
描いたヤツしばらく寝かしてから割と客観的に見直しても「ヘタだな~」て思いますから、ホントにヘタなんだと思います(__;
華やかな色彩を描かれる絵師さんの作品なんか見ると「スゲー!(゚∀゚)」て感動する一方で、「何でオレはこんなにダメなんだ~…(ノД`;)」て気落ちもしちゃう。

そんなこんなで、デジタルの強みに頼って、陰影と色味を極力切り分けた塗り方を研究してみてます。
伝統絵画の手法になぞらえて「グリザイユ画法」なんて呼び方もされるようですね。
通常は厚塗りと相性がいい手法みたいですけど、自己流でアレンジしてみたらギャルゲ塗りでも使えなくはないかなと。

先に全体をグレーの濃淡だけで塗ってから、それぞれの陰影に色味を与えていく描き方です。
良い絵はどんなに色彩鮮やかでも、グレーに変換した時の濃淡コントラストも美しいモノに仕上がってる、とエミネムさんってエライ人も言ってましたd(・∀・)

色の三要素として色相・彩度・明度ってのは教科書にも良く出てくるお話ですけど、他にもブツそのものの固有色と影(shadow)と陰(shade)の絡みとか、バルールがナンチャラとか、こうした複数の要素を同時に計算しながら塗っていく複雑さが色塗りを難しくしちゃう原因かな~、と。
それで、塗りがドヘタな初心者の陰陽としては、ちょっと手間は掛かるんですけど、これらの個々の彩色要素をデジタルの力を借りて一旦分解して、最後に自由にそれらを合成して仕上げる描き方をやってみてるワケです。

先々もっと塗りが上手くなってきたらこんなメンドイやり方せずにスパッと一発で塗れるような日が来るコトを期待しつつ…
…なワケで、この手法は現時点でのマイ・ベストで、細かい部分はちょっとずつアップデートしてくだろうし、ずっとこのやり方するかどうかは不明。

あとコレはあくまで立ち絵用の手法で、このまんまイベントシーンの一枚絵にも使えるかどうかは何ともカントモ(・~・)

なお使用ツールはクリスタですけど、SAIやその他ペイントソフトでも同じような手法は可能かと。
いきなり要らん話しちゃいますけど、筆そのものの伸びやかさや発色の良さでは、クリスタ<SAI、てのが僕の個人的な感想です。
機能の豊富さでクリスタに切り替えちゃったけど、塗りの色ムラの出やすさとか、下色との混色時の濁りとか、SAIで塗ってた時には感じなかったストレスをクリスタには感じさせられてます。
まぁ最近は自分でカスタマイズしたブラシ作ったりしながら少しずつ慣れてきてるかなぁ…


モデルは『つまおち』主人公&ヒロインの愛娘、毬ちゃん。
まずは塗り開始前の線画の段階。背景レイヤーを非表示にするとご覧のとおり線以外は透明です。

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ちなみに僕は色塗りの次にペンっていう画材が苦手なので(苦手ばっかかよ…(ーー;)、デジタルでもクリンナップまで鉛筆ツールです。
が、これがまた良し悪しで、後述しますが線を鉛筆ツールで描くと塗りの手法にまで影響するんですよね~。
ペンが苦手だ~ヤダ~鉛筆で仕上げまでやっちゃえ!ってやってた時は考えもしてなかった(>_<)

線画にはラスターレイヤーもベクターレイヤーも使います。
体や衣服や顔の輪郭みたいにストロークの長いラインが多くなる箇所はベクターを使い、顔のパーツみたいに細かいトコはラスター使うことが多いかな。


では塗りの工程へ。
まずは下塗りからです。

描けた線画の各レイヤーをまとめて「線画」フォルダに放り込み、
その下にもう一個、下塗り用のフォルダを作って、各パーツ別に塗り埋めていきますが、
この時、下塗りには色を使わずモノクロの濃淡だけで塗り分けていきます。

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輪郭線隠して、完成した下塗りだけ表示するとこんな感じ。
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バックを赤で表示して、塗り漏らしの抜けがないか確認します。
バケツツールで機械的に塗っただけだと、この表示状態にすると輪郭線レイヤーの下になってた部分が透けて隙間開いてる箇所が無数にあったりしますけど、そこを丁寧に手作業で塗り潰してあげて、この状態まで仕上げます。

パーツの境界線になる線画のラインが、どちらのパーツに所属するのかまで考えて、線画の下までキッチリ塗り込みます。
これはさっき書いた、線画に鉛筆ツール使ったことの影響です。

ペンツールだと基本、線の強弱は太さだけが頼りで濃淡=透明度は使用されません。
だけど鉛筆には透明度があるので、下塗りできちんとその線の下地までカバーしてあげないと線にムラが出来てキチャナくなっちゃうんです(>_<)

なのでパーツ下塗りはバケツツールであっちこっちをポチッとな!てだけでは済まなくて、
バケツの「領域拡張」プロパティを割と太目に設定して線からはみ出すくらいまで塗り潰してから、今度は線画部分は含まれない設定にして領域外選択して消去したり、
それでもなかなか完璧には仕上がらないので最後はセコセコ手作業で丁寧に削り落としたりしてます。

ココが一番退屈でメンドイ作業かな…。でもこのやり方、後で色塗りの時に出てくるメリットもありますのよ。
この輪郭処理も含めて、パーツ下塗りの丁寧さがその後の品質に大きく影響してくるのが、今僕がやってる塗り方の一つの特徴と言えるかも。


続けて、別フォルダを作ってそっちで陰影付けを行います。
(なおこの工程を後回しにして、下塗りに続いて【後半】で説明する方法で先に色指定しても構いません。各工程をフォルダ単位で分離してるので、どの工程を先にやっても最終的に合成された結果画像は同じになります)

「下塗り」フォルダと「線画」フォルダの間に、「陰影」フォルダを作ります。
背景レイヤーをグレーにして、さっき塗った下塗りフォルダは一旦非表示にして、陰影フォルダの中に全体の陰影を塗っていきます。

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この時、各パーツの固有色や境界は殆ど気にしません。
イメージ的には、石膏デッサンに近い感覚ですね。
全ての要素を無色の均質な素材と捉えて、陰影だけを描画します。
(3DCGに詳しい人でしたら「シェーディングやアンビエントだけを別レイヤーとして取り出す感じ」って言っても伝わりますかね)

なのでレイヤー数も少なめで、だいたい最初は同じレイヤーに顔も服も一緒くたに、全身の陰影を一気に塗っていきます。後々の使い勝手のためにパーツごとに切り分けるのは全体の陰影を描き終えてからです。
使う色も影色=黒とハイライト=白の2色だけ。

ただ便宜的に、全体の大きなマッスを表現するための大まかな陰影と、衣服の皺や髪の毛の落ち影などの細かい陰影は別レイヤーにすることが多いですね。
影付けというと皺などの細部に目が行きがちですが、個人的には重要なのは全体での大きい陰影の方だと思います。
2016-06-03_12h05_17こうして陰影だけ単独で眺めるとモワッとボケてる感じですが、この大きな濃淡が大事。
全身を見渡して、ドコが一番暗くドコが一番明るくなるのかを押さえるように気を付けてます。それがズレると絵に統一感が失われて嘘臭くなっちゃうので。

「下塗り」レイヤーを再度表示して、塗り上げた「陰影」レイヤーを上に被せるとこんな感じ。

2016-06-03_12h08_20これでモノクロ画像としての塗りはほぼ完成です。


なんか書き出したら予想外に長くなってきちゃった。モノクロ作業工程の説明だけで一旦終了。

肝心の色塗り工程は【後編】に続く~ッと。


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