性癖なくして魅せられた逸作>『寝取られ妻との性生活』by傾向音

「試験直前になると読書がはかどる」って経験お持ちの方も多いでしょうが、性人しても似たようなコトはあるもので。
ここのところ仕事がかなりタイトで同人制作もスケジュール押しで焦り気味なんですが、そういう時期に得てしてブログに書きたい快作に立て続けに出会ったりするものででで。

寝取られ妻との性生活 -浮気相手の為に夫を壊す悪女-DLsite

NTR BLOGさんでの紹介にかなり興味を刺激されて購入してみたんですが、その丁寧に練り上げられた内容に大いに刺激を受け、こここれは急いでブログに書かねばと気色ばみましたのことよ。

………と言っても………ですね、、、

正直に言うと本作、いわゆる“実用性”って面では僕のテイストではありませんでした。
寝取られとマゾヒズムにどっかで繋がりがあるのは確かだと思うんですが、少なくとも性癖って点では、僕はNTR者ではあっても直球的なMでは無いんだなぁ、てのを改めて知らされた感があります。

でもじゃあ面白くなかったのかと言うと、ンなこたぁない!
そもそも面白くなかったらこの寝る間も削ってる時期にブログ記事なんか書きませんよダンナ!

何つーかね、サドとかバタイユ、日本で言うと乱歩や谷崎なんかに通じるような変態文学wの香りが漂ってる文体&お話なんですよね~。
いやM男の話ってなるとマゾッホの『毛皮のビーナス』なんかの方が近いのかな?僕はソッチ系は興味の対象外だったので読んでないんですけど、本作読んだせいで改めてそんな小説も手に取ってみようかと思ったりしましたよ。

エロというと、汗と汁に塗れたドロドロの暑苦しい描写をいかにそれらしく描き出すかってトコロが問われる…ていうか、僕はそういうのを書けるようになりたいと思ってるんですけど、
本作の文体はそれと反対に、こぅ…冷えた刃先で肌の表面をなぞられているような、ゾワゾワ感があります。
なにせ本作、登場する女性二人はどちらも一度も本気でイキません! これ18禁作品としてかなり衝撃的で斬新じゃないですか?
僕がこの作品に感じた面白さは「抜きゲー」とは指向性の違う面白さでしたけど、
M嗜好の強い男性にとっては、ド嵌りして抜き捲れる作品かもですよ!


いつの間にか、まるで異星人みたいな別種の生き物に変わってしまっていた妻にどんどん変態マゾ男に仕込まれていく主人公…。
その、「堕ちていく過程」が真に迫っていて、読んでて首の後ろの産毛が鳥肌立ってくる感じ。
グラフィックの方もそういう寒々しい空気感にマッチした冷えたタッチで、日常でもセックス時でも終始ドコ見てるんだか分からない目をしながら「アイシテル」「アイシテル」と囁きかけてくる妻の微笑が何とも怖い怖いw

そしてそこに登場してくるもう一人の謎の女。
本人の談だと「妻の浮気相手の交際相手」。
(゚Д゚)ハァ?
な、な、なんか頭がこんぐらがりそうですけど、その「妻の浮気相手の交際相手」が主人公を誘惑してセックスしながら、真似するんですよ、「妻」が「浮気相手」とセックスしてる時のセリフとか仕草とかを。
だけどそのあからさまな演技が、主人公に自分はその浮気相手に完全敗北してるって屈辱と劣等感と悔しさを植え付けながら、彼を倒錯的な「惨めすぎる絶頂」へと導く。

…こんな具合に、徐々に飼い慣らされ、狂わされ、壊されていく男の心理が実に丁寧に描き出されていて、読んでてついつい惹き込まれてしまいます。

この作者、傾向音さんの文章が秀逸だな~と感じるのは、
そうやって堕ちていく主人公が、なぜそれに逆らい抗い切れないのか、その屈折した心理が言葉の選び方、文章の練り方、ひとつひとつに丁寧に反映されてるところで。

一言で言えば、彼は最後の最後まで、この殆ど妖怪じみたところまで変貌を遂げてしまった妻のことを「愛してる」(アイシテルでなく)んですよね。
どこかでまだ、相手に対して同じ人として、男と女として、期待してしまっている。なまじその気持ちがあるから、それに雁字搦めにされて彼は妻に最後まで反旗を翻せない。そしてそのことを、当の妻の方もすべて知り尽くした上で夫を壊してあげにかかっている((((;゚Д゚))))ヒィィィ…

いよいよ来るべきところまで来ちゃった段になって今更のように、自分と寝取り男との間にあったことを主人公に独白のように語る妻を、
「卑怯で、救いようがないくらいねじ曲がっている」
と分かっていながら、それを妻の自分に対する懺悔と感じ、それに対して敢えてお礼の言葉を、人としての最後の言葉を、妻に罪の意識を植え付ける復讐として吐き出してアッチ側にイッちゃう主人公のやるせなさ。。。アンタはこの期に及んですら、まだその妻の人の心に呼びかけようとするのか…(;_;)

そしてその時僕の頭の中には、
かのブルーハーツの名曲の一節が鳴り響いていたのでありました。

「弱い者達が夕暮れ、さらに弱い者を叩く」

僕がここのシーン好きなのは、妻と主人公の、主人と奴隷の関係が、実は本編には一度も登場しない寝取り男須藤と、妻奈緒の間で交わされた隷奴と服従の物語のリフレインっていう二重構造になってるところで。
読後に余韻が残るっつーか、後を引くっつーか、その語られてない部分にこそ、僕の性的な嗜好はビクンビクンしてしまうワケで。
かつては貞淑であった妻が、ここまでの悪女にどうやって躾けられていったのか。あぁ須藤さんスンゴいヒィィィ!
そこのトコロをもぅ際限なくイロイロとエロエロと妄想してしまうワケで。。。

やっぱ改めて、僕は女性の心身が寝取り男の誘惑に負けて欲情堕落していくお話が好きなんだなぁ、と。
この作品は、その支配と隷従の関係が男と女で逆転してるんですが、それがもっかい入れ替わった状況=壊れ淫れていく奈緒の痴態を想像するだけでもぅゾクゾクしてくる。本編では終始薄ら笑いを浮かべて主人公を見下げている奈緒が、その時一体どんなふうに蹂躙され、身も世もなく泣き喘いでいたのか?
その、作中では敢えて伏せられ読者の妄想に任されたであろう部分のエッセンスを、直接的にではなくとも自分の作品に結晶化させて描き出してみたい……だけどそのためには、今の僕のジツリキでは全然この作品の域まで到達してない………
そんな欲望と野望と絶望がゴチャマゼになった変な興奮状態を、一際募らされてしまったのでありました。
(あ、何かこのへんは僕も結構マゾっぽいのかな…w)


久々にグッと突き刺さる作品に出逢えました>『彼女が’情事’にハマる’事情’』byくにふとわーく

ここんところお仕事の方もまぁそれなりに忙しく、同人制作と二本立てで24時間の割り当てを使い切ってしまう毎日で、
積みゲー増える一方でブログに感想文投稿するのも久しぶりなんですが、

掻きたいもとい書きたい気持ちを募らせてくれる良い作品に出会いましてね~。

彼女が’情事’にハマる’事情’DMM
DLSite

ご覧のとおり4作品のオムニバスなんですが、それぞれの尺は当分じゃなく、
最短のものが50枚弱、70枚チョイのお話が2題、、、

そして一番長尺のお話が150枚超えてて、そんでもってそのお話がNTR感満載で、陰陽のツボにハマっちゃった次第でして。

出来るだけネタバレ避けて未プレイの方の興味を削がないように書きたいんですけど、どれがそのNTRかは書かないワケにいかないし、その分どうしてもネタバレ的になっちゃう箇所も避けられないと思いますので、この先はその点お含み置きの上でご覧ください。 続きを読む 久々にグッと突き刺さる作品に出逢えました>『彼女が’情事’にハマる’事情’』byくにふとわーく


色塗りがヘタな僕の立ち絵塗り方まとめ【後半】

更新しばらく間が空いてしまいましたが、【前半】に続いて色乗せ工程を紹介します。
(だけど多分この記事、ほぼ需要無いッスね(^^;
まぁ自分用の備忘録ってコトで………)

実はタブレットで手を動かして塗る作業は【前半】部分でもう7~8割方終わっちゃってます。
ここからはとにかくデジタルの強みに全面的におんぶにだっこしてもらって楽していきます。


まず、【前半】の最初で作った「下塗り」のフォルダを、中身のレイヤーごとまるっと複製して「線画」フォルダの上まで引っ張り上げ、合成モードを「カラー」に変更します。

2016-06-16_12h22_52「カラー」合成モードは、そのレイヤーの色相と彩度で下のレイヤーを塗り潰すモードですが、
今は下敷きになっている「下塗り」フォルダと同じグレー画像が乗っかってるだけですから、何も変化は起こりません。

それでは、この「カラー」フォルダの中のレイヤー全部に透明度のロックを掛けてから、それぞれお好きな色でレイヤー全体を単色で塗り潰し~ッと。

2016-06-16_12h48_11ジャジャーン!
アッという間にカラー化できました!

理屈はお分かりになるでしょうか?
「カラー」を乗っける前の段階で全体の明暗設計は終わってるので、そこに「カラー」フォルダでそれぞれのパーツの色に関する情報(色相&彩度)を付加してあげてるんですね。

このやり方だと各パーツの固有色を、単色で塗り潰したレイヤーひとつずつが受け持っているので、その後の色味の変更も「色調補正→色相・彩度・明度」などでスライダ調整してあげれば自在です。
2016-06-16_12h56_47僕はとにかく色感に自信がないので、こうやって色んな色彩で変更・確認しまくりながら、最終的な色合いを決定しています。

この時、「色調補正」スライダの「色相」と「彩度」によって担当パーツの色味は大きく変化しますが、「明度」スライダの影響はあまり出てきません。
このレイヤーは「カラー」合成モードなので、明度の情報は画像にダイレクトには効いてこないからです。
(ただ…個々の色相にはその色が一番鮮やかに見える手頃な明度ってのがあって、彩度スライダだけでこの「鮮やかみ」が出ない時は明度スライダの調整が効いてくる事もあります。
多分コレ、色彩学で言う「バルール」ってヤツと関係してるんじゃないかと思ってるんですが、まぁ、そのへんはホント理屈っぽい話になるんでひとまず今回はコレ以上はスルーしときます)
対象部分の明度を調整したい時は、「カラー」フォルダの中のレイヤーでなく、一番下の「下塗り」フォルダ内の対象レイヤーを選択して、同じく「色調補正→色相・彩度・明度」などで明度調整してやります。
2016-06-16_13h03_04


モノクロで塗ったヤツに色付けするのは、こんな感じでポチポチっとクリックしたりスライダいじったりするだけ。マウス操作オンリーで、タブレットはほぼ全く使いません。
このサンプル画像くらいだったら、馴れればものの10分もあれば出来てしまいます。

ただ、これだけで終わっちゃうと絵としての味わいが足りないので、ここからは品質を高めるためのニュアンス付けの作業に入ります。


まず、ここまでのやり方だと各パーツの陰影部分は、単に明度が下がった(=黒くなった)だけです。
だけど、実際の影色ってそうじゃない。陰影部分には周囲からの影響によって様々な色味が混じり込んできます。
特に人肌なんか、このままだとドヨ~ンと暗く沈んでて、まるでゾンビのようです(^”^;; コレは何とかしないと。

2016-06-16_12h48_112い、遺影じゃないんだからネッ・・・(^^;;

 

影色ってホント難しくて、悩まれてる方も多いみたいですけど、一応リクツの上での説明は出来ます。
(とココから、センスの無さを知識でカバーしようとした陰陽オジサンの薀蓄。
ちょっとメンドクサイテキストが続きますので、メンドクサイ方はスルーで(^^;)

色の三要素(色相・彩度・明度)に基いて考えます。

まず陰影部では明度が減りますよね。コレは常識。
だけど、どの程度下がるか、ていうのは実は「お好み」でイイ。
カメラの露出や感度を調整すると、明暗のコントラストは変わりますよね。アレと一緒で、「固い」印象の絵にしたければ陰影部分の明度は大きく下げ、「柔らかい」仕上がりの絵なら明度低下は控えめに。
大事なのは絵全体を眺めながら陰影のコントラストを一貫して調整することで、アッチには濃い影付けたのにソッチは薄い影、みたいにバラバラしちゃうと【前半】の陰影塗りのトコでもお話ししたとおり、統一感に欠けた嘘くさい陰影の絵になります。
(僕みたいな塗り初心者が最初からカラーで塗ると、この画像全体の明暗対比と色情報がゴッチャになって陰影の統一感が崩れるのがヘタな塗り絵になる一因かなと思ってます)

そして同時に暗部では(一般に)彩度も下がります。
コレは光量が減ると視覚細胞の色味の認知機能も衰えるので、暗い箇所では明るい箇所ほど明瞭にその部位の固有色が認識できなくなるせいらしいです。

だがしかし、ココから先が理論だけじゃカバーできない。
その物自体の固有色の色相は当たってる光量に関係せず暗くなったからって変化なんかしない筈ですけど、実際に目に映る色相は明部と暗部でズレてきます
これはカラーブリーディングの影響が、暗部の方が強く出るせいですね。

たとえば赤い壁面の部屋に白いブツを置くと、周囲の壁の反射光が影響してブツは赤寄りに色付いて見えますが、
強い光が当たって白いブツの固有色=白が強く主張できる明部に比べると、暗部ではその周囲の反射光の影響が強く表れ出てくるので、色相が赤方向に引っ張られる程度がより強くなります。

この周囲光の影響は複雑に変化するので、影の色味の変化はケースバイケースで一概には決められない。
たとえば左の壁が赤くて右の壁が青い部屋だと、ブツの陰は左側は赤寄り右側は青寄りと、方向や角度で異なってくる。現実には周囲には色んなモノがありますから、それらの影響が絡み合って陰の中の色味は実に多彩です。
(だからこそ絵師さんのセンスが自由に発揮できる箇所で、まぁ僕はそこがヘタだからこんなふうに薀蓄垂れたって大した絵は描けないんですけどね…)

あくまで一般論としては、ですけど、暗部の色相は寒色系にシフトすることが多いですね。
同じ場所でも昼間より夜の絵は、青方向に全体色がシフトしますよね。
これは…色味を感じる視神経の感度差に依るのかなぁ。

以上、メンドクサイ話おわり。


じゃあ、必要な箇所に色味の付いた陰影を足していきましょう。

…と言っても、手作業で上塗りしていくってワケじゃありません。
またしてもデジタルに頼って、【前半】で塗った「陰影レイヤー」を使い回してしまいます。

現在最上位に置かれている「カラー」フォルダ内の、影色を変えたいパーツのレイヤーの直上に、「陰影」フォルダ中の必要な陰影レイヤーを(あるいは「陰影」フォルダまるごとでもOK!)コピーして配置します。
んで、そのレイヤーを「下のレイヤーでクリッピング」
2016-06-16_13h51_35これでこのコピーしたレイヤーは、そのパーツだけに影響するようになりました。

続けて、このレイヤーもまた透明度をロックしてから、お好きな色味で塗り潰します。2016-06-16_14h08_58ほら、赤みの差した肌の影色に変化しました。
2016-06-16_14h08_58これまた【前半】で陰影を黒単色の透明度ベースで描いてたのを利用したワケです。

なお、さっき陰影部分の特徴として「明度=下がる、彩度=下がる、色相=寒色方向にシフト」と書きましたけど、それはあくまで原則。
合わせて書いたとおり陰の中は実に多彩で、原則どおりにやってちゃ絵が活きてこない場面も少なくありません。

特に肌色は、この原則にこだわってたらなかなかゾンビから脱出できません。
明部より暗部の方の赤みを増し増しにして、彩度も高めてやることも少なくないです。
(コレまた理屈を付ければ、人肌は強い光が当たって表面の皮膚色がアピールする明部より、多少翳ってる部位の方が内側の血色が透過して表面に出てくるので鮮やかになるんじゃないかと考えてます)

この操作を、他のパーツにも繰り返していけば、、、

2016-06-16_14h28_40これで九割以上完成です。


さて………
以前は↑の段階までで「できた~できた~」ってお仕舞いにしてたんですが、
その後、輪郭線の仕上がりがイマイチきちゃないな~って思いまして、
現在は最終仕上げで線の色味を調整する工程を加えてます。

【前半】でもちょっと書いたんですが、今解説してるやり方で塗ってると、一番上の「カラー」の指定は塗りの部分だけでなく輪郭線にも効いてきますので、
ご覧のように色付けすると勝手に輪郭線にもその色味が影響して、まるで各パーツごとに線画まで色分けして引いたような見た目になります。コレ結構オイシイ(^^)2016-06-16_14h36_01元々単色の黒で引いた輪郭線が上乗せした「カラー」レイヤーの効果で、ファー、リボン、コートの布地それぞれの色味に変化してるの分かります?

【前半】で「境界上の輪郭線がどちらのパーツに所属するのかまで考えて、輪郭線の下側まできっちり塗り分ける」作業をしてたのは、
このオマケ効果まで見据えてのことでしたd(・ω・)

だけど僕、輪郭を鉛筆で描いてるもんだから、濃淡が安定しなくてイマイチ綺麗な発色にならないのがちょっと残念(・~・)
(最初からペンで輪郭仕上げればイイんですよ。それは分かってるんですけど…ペンで描いてると僕はキモチヨクない。コレはもぅリクツじゃなくて、キモチヨクないモンはキモチヨクないんだから仕方がないヽ(`Д´)ノ)

なので、またまたデジタル頼みで線の色味を整えてあげます。
このやり方は未だに色々試してますが、現状「この方法が一番綺麗な結果が出せて理にも適ってる感じがしてる」っていう手法を書きます。

まず、「線画」フォルダの合成モードを「乗算」にします。
そしてこの「線画」フォルダ内の一番下に真っ白な単色レイヤーを一枚、一番上に「トーンカーブ」の色調補正レイヤーを挿入して、カーブをこんな具合にいじります。
2016-06-16_11h40_02コレ何やってるかというと、濃淡のある鉛筆線を、70%グレーくらいで一律になるように均してるんです。
2016-06-16_11h41_40そうすると均質なグレー明度に均された輪郭線に、上に乗っけた「カラー」フォルダの色相・彩度が乗っかりますから、ムラのない綺麗な発色の輪郭線になります。
2016-06-16_11h43_43

てなわけで輪郭線のお化粧まで仕上げて、ようやく、、、、、完成~!\(*^▽^*)/
毬-立絵-余所行き01


ただねぇ…

自分でこうして記事にまとめてても思いますが、
複雑でめんどっちぃですよねぇ。。。(´・ω・`)

差分と言えば表情の変化くらいしかないサブキャラならまだしもなんですけど、ポーズや服装の差分が何枚もある主役級のキャラなんかだと、レイヤー数がもの凄いコトになって、
「あのポーズであの服装してる時って、どのレイヤーがオンでどれがオフだっけ?」
…ってポチポチ切り替えるのがすっげー手間………いや手間で済んだらまだマシで、
微妙な陰影差なんか見過ごして間違ったレイヤー選択したまま
最終のPNGに統合出力しちゃったり…(´・ω・`)

Photoshopみたいなレイヤーカンプがあれば、それぞれのポーズ&服装ごとにレイヤーの表示/非表示状況をスナップショットしとけば済むので助かるんだけどな~
>セルシスさん…|ω・`)チラッ


色塗りがヘタな僕の立ち絵塗り方まとめ【前半】

小学校の頃から「アンタは何で色塗るとそうなっちゃうの?」て先生や親から言われていた陰陽です。

とにかくね~、色が「見えない」んですよね~。
輪郭線&モノクロの陰影やコントラストの使い方までは、昔からまぁどうにかこうにかイメージ出来るんですが、その先どういう色使いにすると絵が映えるとか、ココにこの色があると引き締まるとか、そういうのが全然浮かんでこない分からない。
なので色彩学の知識なんか齧って一所懸命理論武装してみたりとか、実際のお描き時にもあ~でもないこ~でもないと弄くり回すんだけど、やっぱり持って生まれたセンスの無さ(って日本語変か。「持って生まれられなかったセンス」かな)で、ますます袋小路に陥ってく感が強まって。
描いたヤツしばらく寝かしてから割と客観的に見直しても「ヘタだな~」て思いますから、ホントにヘタなんだと思います(__;
華やかな色彩を描かれる絵師さんの作品なんか見ると「スゲー!(゚∀゚)」て感動する一方で、「何でオレはこんなにダメなんだ~…(ノД`;)」て気落ちもしちゃう。

そんなこんなで、デジタルの強みに頼って、陰影と色味を極力切り分けた塗り方を研究してみてます。
伝統絵画の手法になぞらえて「グリザイユ画法」なんて呼び方もされるようですね。
通常は厚塗りと相性がいい手法みたいですけど、自己流でアレンジしてみたらギャルゲ塗りでも使えなくはないかなと。

先に全体をグレーの濃淡だけで塗ってから、それぞれの陰影に色味を与えていく描き方です。
良い絵はどんなに色彩鮮やかでも、グレーに変換した時の濃淡コントラストも美しいモノに仕上がってる、とエミネムさんってエライ人も言ってましたd(・∀・)

色の三要素として色相・彩度・明度ってのは教科書にも良く出てくるお話ですけど、他にもブツそのものの固有色と影(shadow)と陰(shade)の絡みとか、バルールがナンチャラとか、こうした複数の要素を同時に計算しながら塗っていく複雑さが色塗りを難しくしちゃう原因かな~、と。
それで、塗りがドヘタな初心者の陰陽としては、ちょっと手間は掛かるんですけど、これらの個々の彩色要素をデジタルの力を借りて一旦分解して、最後に自由にそれらを合成して仕上げる描き方をやってみてるワケです。

先々もっと塗りが上手くなってきたらこんなメンドイやり方せずにスパッと一発で塗れるような日が来るコトを期待しつつ…
…なワケで、この手法は現時点でのマイ・ベストで、細かい部分はちょっとずつアップデートしてくだろうし、ずっとこのやり方するかどうかは不明。

あとコレはあくまで立ち絵用の手法で、このまんまイベントシーンの一枚絵にも使えるかどうかは何ともカントモ(・~・)

なお使用ツールはクリスタですけど、SAIやその他ペイントソフトでも同じような手法は可能かと。
いきなり要らん話しちゃいますけど、筆そのものの伸びやかさや発色の良さでは、クリスタ<SAI、てのが僕の個人的な感想です。
機能の豊富さでクリスタに切り替えちゃったけど、塗りの色ムラの出やすさとか、下色との混色時の濁りとか、SAIで塗ってた時には感じなかったストレスをクリスタには感じさせられてます。
まぁ最近は自分でカスタマイズしたブラシ作ったりしながら少しずつ慣れてきてるかなぁ…


モデルは『つまおち』主人公&ヒロインの愛娘、毬ちゃん。
まずは塗り開始前の線画の段階。背景レイヤーを非表示にするとご覧のとおり線以外は透明です。

2016-06-03_11h43_342016-06-03_11h42_05

ちなみに僕は色塗りの次にペンっていう画材が苦手なので(苦手ばっかかよ…(ーー;)、デジタルでもクリンナップまで鉛筆ツールです。
が、これがまた良し悪しで、後述しますが線を鉛筆ツールで描くと塗りの手法にまで影響するんですよね~。
ペンが苦手だ~ヤダ~鉛筆で仕上げまでやっちゃえ!ってやってた時は考えもしてなかった(>_<)

線画にはラスターレイヤーもベクターレイヤーも使います。
体や衣服や顔の輪郭みたいにストロークの長いラインが多くなる箇所はベクターを使い、顔のパーツみたいに細かいトコはラスター使うことが多いかな。


では塗りの工程へ。
まずは下塗りからです。

描けた線画の各レイヤーをまとめて「線画」フォルダに放り込み、
その下にもう一個、下塗り用のフォルダを作って、各パーツ別に塗り埋めていきますが、
この時、下塗りには色を使わずモノクロの濃淡だけで塗り分けていきます。

2016-06-03_11h56_21
輪郭線隠して、完成した下塗りだけ表示するとこんな感じ。
2016-06-03_11h55_43
バックを赤で表示して、塗り漏らしの抜けがないか確認します。
バケツツールで機械的に塗っただけだと、この表示状態にすると輪郭線レイヤーの下になってた部分が透けて隙間開いてる箇所が無数にあったりしますけど、そこを丁寧に手作業で塗り潰してあげて、この状態まで仕上げます。

パーツの境界線になる線画のラインが、どちらのパーツに所属するのかまで考えて、線画の下までキッチリ塗り込みます。
これはさっき書いた、線画に鉛筆ツール使ったことの影響です。

ペンツールだと基本、線の強弱は太さだけが頼りで濃淡=透明度は使用されません。
だけど鉛筆には透明度があるので、下塗りできちんとその線の下地までカバーしてあげないと線にムラが出来てキチャナくなっちゃうんです(>_<)

なのでパーツ下塗りはバケツツールであっちこっちをポチッとな!てだけでは済まなくて、
バケツの「領域拡張」プロパティを割と太目に設定して線からはみ出すくらいまで塗り潰してから、今度は線画部分は含まれない設定にして領域外選択して消去したり、
それでもなかなか完璧には仕上がらないので最後はセコセコ手作業で丁寧に削り落としたりしてます。

ココが一番退屈でメンドイ作業かな…。でもこのやり方、後で色塗りの時に出てくるメリットもありますのよ。
この輪郭処理も含めて、パーツ下塗りの丁寧さがその後の品質に大きく影響してくるのが、今僕がやってる塗り方の一つの特徴と言えるかも。


続けて、別フォルダを作ってそっちで陰影付けを行います。
(なおこの工程を後回しにして、下塗りに続いて【後半】で説明する方法で先に色指定しても構いません。各工程をフォルダ単位で分離してるので、どの工程を先にやっても最終的に合成された結果画像は同じになります)

「下塗り」フォルダと「線画」フォルダの間に、「陰影」フォルダを作ります。
背景レイヤーをグレーにして、さっき塗った下塗りフォルダは一旦非表示にして、陰影フォルダの中に全体の陰影を塗っていきます。

2016-06-03_12h00_21
この時、各パーツの固有色や境界は殆ど気にしません。
イメージ的には、石膏デッサンに近い感覚ですね。
全ての要素を無色の均質な素材と捉えて、陰影だけを描画します。
(3DCGに詳しい人でしたら「シェーディングやアンビエントだけを別レイヤーとして取り出す感じ」って言っても伝わりますかね)

なのでレイヤー数も少なめで、だいたい最初は同じレイヤーに顔も服も一緒くたに、全身の陰影を一気に塗っていきます。後々の使い勝手のためにパーツごとに切り分けるのは全体の陰影を描き終えてからです。
使う色も影色=黒とハイライト=白の2色だけ。

ただ便宜的に、全体の大きなマッスを表現するための大まかな陰影と、衣服の皺や髪の毛の落ち影などの細かい陰影は別レイヤーにすることが多いですね。
影付けというと皺などの細部に目が行きがちですが、個人的には重要なのは全体での大きい陰影の方だと思います。
2016-06-03_12h05_17こうして陰影だけ単独で眺めるとモワッとボケてる感じですが、この大きな濃淡が大事。
全身を見渡して、ドコが一番暗くドコが一番明るくなるのかを押さえるように気を付けてます。それがズレると絵に統一感が失われて嘘臭くなっちゃうので。

「下塗り」レイヤーを再度表示して、塗り上げた「陰影」レイヤーを上に被せるとこんな感じ。

2016-06-03_12h08_20これでモノクロ画像としての塗りはほぼ完成です。


なんか書き出したら予想外に長くなってきちゃった。モノクロ作業工程の説明だけで一旦終了。

肝心の色塗り工程は【後編】に続く~ッと。